メルマガの「効果測定」と「次の原稿」を、1つの画面にまとめた話
この記事の内容
会員制サービスを運営されている企業様のメール配信をお手伝いする中で、分析ダッシュボードを内製しました。目的は数字を見ることそのものではなく、見た数字が次の原稿に反映される状態を作ることでした。
数字はあるのに、次の原稿に活きていなかった
配信ツールには、開封率もクリック率も出ています。それでも改善が進まない状態がよくあります。理由は単純で、数字を見る場所と、原稿を書く場所が離れているからです。
書き手は原稿を書くとき、過去の数字を見に行きません。見に行くには別のツールを開き、配信ごとに数字を拾い、どの文面だったか思い出す必要があるからです。この手間がある限り、分析結果は次の原稿に届きません。
作ったもの:4つのタブ
| タブ | 中身 | 解決したいこと |
|---|---|---|
| 分析 | 配信ごとの数値と、時間帯・型ごとの傾向 | 感覚ではなく実績で判断する |
| アーカイブ | 実際に配信した本文をそのまま閲覧 | 数字と文面をその場で突き合わせる |
| 書き方ガイド | 型・NG表現・確定情報のまとめ | 担当者が一人で判断できるようにする |
| AI補助 | 初稿・リライト・校閲・配信プラン | ゼロから書く時間をなくす |
ポイントはアーカイブを同じ画面に置いたことです。「この数字のときの文面はこれ」がワンクリックで見られると、書き手は自然に過去を参照するようになります。
罠1:配信直後の数字で判断すると、逆の結論が出る
これは実際にやってしまった失敗です。配信の翌日に数字を取り、「この回は反応が悪かった」と判断しかけました。
後日あらためて取り直すと、開封もクリックも大きく動いていました。メールは配信直後に全員が開くわけではないので、数日置かないと確定値になりません。この案件では、中3日(およそ72時間)以上おいてから確定値として扱う運用にしています。
翌日の数字で「効かなかった」と判断すると、実際にはうまくいっていた型を捨てることになります。速報値と確定値は、画面上でも分けて扱うべき情報です。
罠2:AIに要約させると、いちばん強い材料が落ちる
AIに原稿の下書きをさせるとき、前提となる情報を渡します。このとき情報を要約して渡してはいけないというのが、この案件で得た大きな学びです。
要約すると、日付や場所のような骨格は残りますが、固有の実績値や肩書きのような訴求材料になる細部が落ちます。落ちた情報は原稿にも出てこないので、当たり障りのない文章が出来上がります。
対策として、確定情報は公式の告知文をそのまま全文持たせる形にしました。長くても構いません。要約はAIではなく、書き手が最後に判断する仕事です。
罠3:過去の配信文を「正しい情報源」にしない
もう1つの失敗が、過去に配信したメール本文から事実を拾ったことです。過去のメールには、その時点での暫定情報が含まれています。募集の段階が変われば、条件も締切も変わる。
それを最新の事実として扱った結果、内容に複数の誤りが混ざりました。事実の出所は、常に最新の確定情報に固定する。過去の配信は「書き方の参考」であって「事実の参照先」ではない、と役割を分けています。
書き手のスタイルを、AIへの制約として書き出す
AIに書かせると文章が浮くのは、指示が足りないからです。この案件では、実際の配信文から抽出したスタイルを制約として明文化しています。
最後の1行が重要です。これを入れないと、AIは足りない情報をそれらしく埋めます。事実を勝手に作られると、配信物としては致命的です。
指示は、話して伝えられるようにした
実務で意外に大きかったのが、AIへの指示を音声で入力できるようにしたことです。文字で指示を打つのは面倒で、面倒だと指示が短くなり、短い指示ほど的外れな出力が返ってきます。
話し言葉には句読点がなく言い直しも入りますが、そこは「音声由来なので意図を汲む」とAI側に伝えることで実用になりました。よく使う指示はワンクリックで挿入できるようにしています。
よくある質問
ダッシュボードは自作しないといけませんか?
市販の分析ツールで足りるなら、それで構いません。自作した理由は、配信ツールの標準画面では「数字」と「そのときの本文」を並べて見られなかったからです。既存ツールでその2つが並ぶなら、作る必要はありません。
AIに書かせると、文章が均質になりませんか?
なります。なので、AIの役割は初稿とリライト、校閲までに限定しています。何を伝えるかの判断と、最後の言い回しは人が決める前提です。AIを使う目的は文章の代筆ではなく、白紙から書き始める時間をなくすことだと考えています。
どのくらいのデータ量があれば分析を始められますか?
数十通あれば傾向は見え始めます。ただし件数より、条件をそろえて比較できるかのほうが重要です。同じ目的・同じ対象への配信を比べないと、時間帯の差なのか内容の差なのか分からなくなります。
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