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くり返し発生するイベント告知の作成を、コピペ事故ごと仕組みで潰した話

2026年9月13日公開 | 栁松聖吾

くり返し発生するイベント告知の作成を、コピペ事故ごと仕組みで潰した話

この記事の内容
  1. 1開催あたり、作るものは6点ある
  2. 手で作ると、毎回同じ場所で間違える
  3. やったこと1:文章の正解を1か所だけにする
  4. やったこと2:新規で作らず、複製して埋める
  5. やったこと3:出す前に、機械で突き合わせる
  6. 送信ボタンだけは、必ず人が押す
  7. 同じ業務を抱えている場合、最初に作るべきもの
  8. よくある質問

会員制サービスを運営されている企業様の告知業務をお手伝いしています。複数の拠点でオフラインの交流会を開催されていて、開催地ごとに参加者を集める告知を出す必要があります。

この業務は、一件ずつは単純です。ただし開催地の数だけ、まったく同じ形の作業がくり返される。しかも、開催のたびに発生します。こういう業務でいちばん怖いのは難易度ではなく、慣れによる見落としです。

1開催あたり、作るものは6点ある

外から見ると「告知を1本出す」だけに見えますが、実際に手を動かす側から見ると、1開催につき次の6点を作って、さらにそれらを互いにつなぐ必要があります。

作るもの役割間違えたときに起きること
告知メッセージ募集開始のお知らせ対象外の人に届く/届くべき人に届かない
イベントページ日時・会場・定員・申込定員や締切が実態と食い違う
予約完了時のメッセージ申込直後の自動返信別開催地の会場を案内してしまう
前日リマインド出席率を保つ送られない/前日以外に飛ぶ
計測タグどの告知から申し込まれたか効果が分からなくなる
参加者タグ次回以降の案内対象案内対象がずれる

厄介なのは6点を作ることではなく、6点を正しく配線することです。告知を押すとイベントページへ行き、申し込むと予約完了メッセージが飛び、同時にタグが付く。この線が1本でも外れていると、表面上は正常に見えるのに数字だけが合わなくなります。

手で作ると、毎回同じ場所で間違える

実際に発生する間違いは、ほぼ決まった型に収まります。人が悪いのではなく、複製して一部だけ書き換える作業の構造上、必ずそこに集まります。

いずれも、目視のダブルチェックでは止まりません。目で見て違和感がないから複製できてしまうのであって、違和感がないことこそが原因だからです。

やったこと1:文章の正解を1か所だけにする

まず、開催地ごとの文面をスプレッドシートに集約し、1開催地=1列という形に固定しました。日付・会場・定員・参加費・本文が、決まった行に必ず入っている状態です。

ここで重要なのは、作る側が文章を書かないと決めたことです。文章を書いてよい場所を1か所に絞ると、間違いが起きても「どこを直せば全部直るか」が明確になります。逆に、作りながら少しずつ文面を整えると、正解がどこにあるのか誰にも分からなくなります。

やったこと2:新規で作らず、複製して埋める

作成は、過去の開催分をひな形として複製し、日付・会場・定員だけを差し替える方式にしました。ゼロから作るより速いというだけでなく、前回うまくいった配線をそのまま引き継げるのが大きい部分です。

ここは全部を自動化していません。タグのようにまとめて作れるものは仕組みで作り、文面テンプレートのように開催ごとの差分が小さいものは複製で処理する。自動化の範囲は「速いかどうか」ではなく「事故ったときに気づけるか」で決めています。

やったこと3:出す前に、機械で突き合わせる

いちばん役に立ったのは、作る作業の自動化ではなく公開前チェックの自動化でした。作ったものを、元データと機械的に突き合わせます。

【公開前に機械で見ている項目】 ・日付と曜日が実際のカレンダーと一致しているか ・イベントページのリンク先IDが、今回作ったページを指しているか ・タイトル・本文・パネル表示の日付が全部そろっているか ・タグ名の日付が開催日と一致しているか ・配信対象の絞り込み条件が入っているか(退会者の除外を含む) ・配信対象数の桁が想定どおりか(全体配信と地域限定配信を取り違えていないか)

特に最後の配信対象数の桁は、事故ったときの被害がいちばん大きい項目です。地域限定の案内のつもりで全員に届く事故は、絞り込みを1つ外すだけで起きます。桁を見れば一発で分かるので、必ず目を通す位置に出すようにしました。

送信ボタンだけは、必ず人が押す

この業務では、実際に配信する操作を仕組み側からできないようにしています。テンプレートも予約枠も自動で用意しますが、最後に送る操作だけは人が画面で行います。

理由は単純で、配信は取り消せないからです。作り直せるものは自動化してよく、取り消せないものの手前には人を挟む。この線引きは、他の業務でも同じにしています。

同じ業務を抱えている場合、最初に作るべきもの

「くり返し発生する告知業務を効率化したい」というご相談をいただくと、多くの場合、最初に作りたくなるのは自動生成の仕組みです。ただ、実際に始めるなら順番は逆をおすすめします。

おすすめの順番

  1. チェックリストを作る:これまで起きた間違いを、種類ごとに全部書き出す
  2. それを機械で見られる形にする:目視で見ている項目のうち、突き合わせで判定できるものを分ける
  3. そのあとで生成を自動化する:チェックがある状態なら、多少雑に自動化しても事故になりません

チェックの仕組みがないまま生成だけ自動化すると、間違いの生産速度が上がるだけになります。

よくある質問

使っているツールを変えないと、同じことはできませんか?

ツールは問いません。この事例で本質的にやっているのは「文面の正解を1か所に置く」「複製で作る」「出す前に元データと突き合わせる」の3点だけです。配信ツールがAPIに対応していれば突き合わせを自動化できますし、対応していなくても、チェック項目を固定するだけで間違いはかなり減ります。

担当者が変わっても回りますか?

回すために必要なのは、手順書よりも「元データの置き場所」と「公開前チェックの項目」です。この2つが決まっていれば、作業自体は引き継げます。逆に、担当者の頭の中にだけ文面の判断基準がある状態だと、仕組みを入れても引き継げません。

どこまで自動化して、どこから人がやるべきですか?

取り消せる操作は自動化してよく、取り消せない操作の直前には人を置く、という基準で分けています。配信・決済・削除は取り消せないので、必ず人が最後のボタンを押す設計にしています。

「同じ作業を何度もくり返している」「担当者しか手順が分からない」という業務があれば、切り分け方からご相談ください。

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